余所者-よそもの-【 2 】


「……でもね、でもね?

悪いことばかりじゃないんだ。


僕にも大切な人ができた。

まだ会ったことはないんだけど、とっても優しい人。


絶対に会うんだ。

出てきたのは、探すため。


そうそう、萎えてる場合じゃないよね。


そろそろお話できるかな?

今日は全然、繋がらなくて。


いつもはこの時間、出てくれるのに……」



地下の売人がスマホを操作した。


――ブー、ブー。


ビリヤード台が、バイブの振動を大きな音にして無機質に響かせる。



「君も電話が鳴ってるよ?」


――ブー、ブー。


地下の売人は少しの間考える仕草をしてから、私の後ろポケットへ手を伸ばした。


静かに取り出された、私のスマホ。


その画面を見た瞬間。

男の動きが、完全に停止した。



< 305 / 340 >

この作品をシェア

pagetop