余所者-よそもの-【 2 】
「………」
ゆらゆらと揺れていた瞳が、ゆっくりと、信じられないものを見るように見開かれていく。
「……みつ……けた……」
地下の売人は立ち上がり、――ダン!と私の顔の真横に両手を突いた。
上から覗き込む、逆さまの彼の瞳から。
キラキラと大粒の涙が溢れてくる。
「………」
「………」
――ぽたん、と零れた涙が、私の頬を叩いた。
「……僕、『大丈夫』だよっ!」
「………」
「『ご飯はちゃんと食べた』し、『きちんと眠れてる』」
「………」
「教えてくれた露天街の夕焼け、『僕も見たよ!』あそこ汚くて臭いし、大嫌いだったけど。夕焼けだけは本当に綺麗だった!」
「………」
「『僕も』、電話が繋がってるだけで、いつも安心だった!」
「………」
「昨日はね『一緒に眠ったよ!』とーってもよく眠れた!」
「………」
「あ。そうだ」
「………」
「ずっと、言いたかったんだ!」
「………」
「『おはよう』」
「………」
私の意識や自我は、ここで完全に途切れ。
記憶はここで――……深く、眠った。