余所者-よそもの-【 2 】
「傷つけてごめんね」
人形のように動かなくなった彼女にそう声を掛けると。
地下の売人は自らの服の袖を、力ずくで引きちぎった。
肩の部分からごっそりと生地を裂き、歯で挟み、更に細かく裂いて。
細長い一枚の布切れをつくる。
それをぐるぐると、血の流れる彼女の右手に巻きつけていく。
ナイフを強く握りしめたせいで、ずいぶん深く切れたそこをキュ、ときつく縛り、止血した。
そこでふいに、地下の売人に声がかかる。
「おいぃ。誰だお前。勝手に獲物に触んなってぇ」
背中を乱暴に掴まれ、引っ張られる。
地下の売人は「チッ」と舌打ちをした。
「誰にモノ言ってんのかね」
引っ張られた拍子に、目深に被っていたフードがパサリと脱げる。
綺麗な白い髪が、フロアの風に靡いた。
その素顔を目の当たりにした男は、一瞬で声を失う。
「………」
「なぁ?デック」
あまりの衝撃に腰を抜かし、その場にドサリと尻もちをついたデック。
その全身は、ガタガタと震えていた。