余所者-よそもの-【 2 】
「………」
「………」
割れた人ごみの先。
たった一人、佇む男――ユキ。
足元には、何人もの男が倒れていた。
服は乱れ、ところどころにかすり傷がある。
切れた口端から一筋の赤い血が顎へと伝っていた。
それでも、目立った深手はない。
あれだけの大人数に四方から責め立てられていながら、今もなお立っていること自体が、異常。
「全員、手ぇ出すなよ」
地下の売人は、ゴトゴトゴト、と腹に抱えていた玉を全て床にブチ撒け。
右手に残した最後の一球を、ユキの顔面に向かって勢いよく投げつけた。
ユキは顔をわずか数センチだけ逸らし、その剛速球を平然と避ける。
空を切った玉は、背後の壁に音を立ててめり込んだ。
ユキと地下の売人が、静かに睨み合う。
凍てつくような、ユキの冷たい瞳と。
子供のように無邪気で、底知れない瞳。
地下の売人が「タハッ!」と狂ったように笑った。
その瞬間。
二人は同時に地面を蹴った。