余所者-よそもの-【 2 】
地下の売人が、目にも留まらぬ速さで拳を打ち込む。
ユキは――パンッ、と小気味よい音を立ててそれを弾き、間髪入れずにカウンターの拳を繰り出した。
地下の売人は上体を低く沈め、紙一重でかわす。
そのまま床に手を突き、側転の勢いをそのまま乗せて、踵をユキの顔面へ振り抜いた。
だがユキはそれすら見切り、床についたままの腕へ、鋭く脚を差し込む。
地下の売人は、攻撃が届くより先に腕を跳ね上げた。
崩れる勢いをそのままバク転の要領で受け流し、後方へ鮮やかに着地する。
ぶつかる、視線。
互いに、呼吸一つ乱していない。
「………」
「………」
地下の売人の口元が、ゆるゆると吊り上がった。
「いいねぇ」
次の瞬間には、再び二人の距離が消える。
――パンッ。
――パン、パンッ。
拳と拳。
腕と脚。
一撃必殺の攻撃が、触れる寸前で弾かれ、かわされ、打ち落とされる。
一歩も引かない。
けれど、一発も入らない。
まるでお互いが、次にどこを狙うのかまで見透かしているようだった。
地下の売人は、たまらなく嬉しそうに目を見開いた。