余所者-よそもの-【 2 】


「お前、合格っ!」

「………」


もう十分。

そんな風に、満足した顔だった。



「デックゥ!!」

「あいぃぃ!」



何かの号令をかけた瞬間。

地下の売人は、ユキの脇の下へ滑り込んだ。


素早く背後へ回り込み、ユキの腰へ両脚を巻きつける。

同時に、首を後ろから羽交い締めにした。


ユキは即座に、首にかかった腕を外そうと筋肉を跳ね上げた。


――しかし、ユキはもう、動けない。



「………」


「……ど?見えた?」



地下の売人がユキの頭を固定し、強引に、ある一方向へと視線を合わせていた。


ユキの身体から、力が抜けた。


ぐらぐらと揺れるその瞳に映っていたのは、

――カナコだった。


「殺しちゃいますよぉ」


ブンブン、と楽しそうに手を振るデック。

ビリヤード台に横たわるカナコの喉元に、ナイフの刃が突きつけられていた。



< 316 / 340 >

この作品をシェア

pagetop