余所者-よそもの-【 2 】
「おけおけ。でも話は最後まで聞いてもらう」
伸びてきた地下の売人の手を、ユキは無造作に振り払った。
心配されるまでもなく、ユキの身体はよく動く。
「ドラッグの予後の話だ」
二人の視線が、静かに交わる。
「慣れない身体にドギツイのが入ってる。最悪、死ぬ」
「………」
ユキは目を見開き、グッと手を丸めた。
「最低でも24時間は付きっ切りだ。ひたすら水を飲ませて。ビタミンとか糖が入ってるものでもいい。あと、毛布でも風呂でもなんでも、大汗かかせてやること」
地下の売人の口調は、あくまで淡々としていた。
「もう間もなく……2種類のドラッグが彼女の中で喧嘩を始める。そこから先は地獄だ。容赦なく、落とせ」
「………」
「起きてる方が可哀そうだから」
地下の売人は静かに、カナコへ目を落とした。
「それから」
そして彼女に寄り添うユキの隣に並ぶ。
「手、切れてる。結構スパッと」
だらん、と力なく持ち上げられた、カナコの右手。
巻きつけられた黒い布から血が染みだして、ビリヤード台の鮮やかな赤を黒く染めていた。