余所者-よそもの-【 2 】
「お前を守りたかったんだろうね?」
「どういうことだ」
ユキはここで初めて、地下の売人に対して言葉を発した。
「俺がお前を切ろうとしたら、止められた」
ユキの指先が、小さく震えた。
「………」
その右手が、そっとカナコの頬に触れる。
地下の売人は一度口を開きかけた。
けれど、何も言えなかった。
ユキのその手が、触れることさえ惜しむように動いていたから。
その場に、静かな沈黙が落ちる。
誰も口を開かなかった。
やがてユキは、壊れ物を扱うように、静かにカナコを抱き上げる。
一度も振り返ることなく、この場を後にした二人。
地下の売人はその背中を、とても羨ましそうに見送った。