余所者-よそもの-【 2 】
「やぁ。紫藤サン。久しぶり」
地下の売人はやっと身体を起こし、軽薄な挨拶を投げかける。
「誰か探してるの?」
「女だ」
「……どんな」
紫藤は長らく消えていた地下の売人になど、一瞥もくれない。
落ち着かない様子ですぐさまその場を離れ、フロアの奥へと向かう。
そして、個室ブースのカーテンを片端から乱暴に開け放っていった。
部下たちも一緒になってフロアの隅から隅までをがさ入れした。
ここはハプニングBAR。
騒動が止み、ありとあらゆる部屋で滾る熱を冷ますように、ドラッグをキメながら男女が行為に耽っている。
目当ての女を探し終えるまでは、大層時間がかかるだろう。
そう思えば、地下の売人は笑いをこらえるのに必死だった。
だって、彼女はとっくの昔にここから去っているのだから。