余所者-よそもの-【 2 】
張り詰めた空気の中。
狐の面を被ったような薄気味悪い笑顔を浮かべた野間が、カウンター前に立ち尽くす私を目がけて、一直線に近づいてくる。
一歩、また一歩とその距離が詰まる度に、逃げ場が一つずつ塗りつぶされていく気がした。
「行きましょうか、カナコさん」
「なん、で……?」
なんで?野間くん。どうしてここに来たの。
「なんで?言っていいんですか?」
「違……やめっ――…」
私の拒絶を遮るように、野間は店内に響き渡る声で告げる。
「紫藤さんが待ってるっすよ。あの夜からずっと、あなたに会いたいと言って聞かないんです」
頭の中が真っ白になる。
バレた。みんなにバレた。
知られた。知られてしまった。
みんながどんな目で私を見ているのか。
想像しただけで、今すぐにここから消えてしまいたくなった。