余所者-よそもの-【 2 】
野間は私を自分の後ろに隠しながら、怪物のようなサンコンをただ静かに見据えている。
衝突の寸前。
「――…サンッコォン……!!」
空気そのものを切り裂くような、ユキの鋭い大声。
その余韻が消えるよりも早く、ユキは瞬く間に二人の間に割って入り、目に見えない程の速さでサンコンの首を肘打ちした。
電撃でも食らったみたいに即座に垂直に倒れたサンコンの巨体を、一回り以上体格差のあるユキが軽く抑え付ける。
フウ、フウ、と全身ポンプのように粗い呼吸を繰り返すサンコンに、ユキは「落ち着け」と息を整えさせていた。
私はその光景を、色のない映画のスクリーンでも眺めているような感覚で呆然と見つめていた。
一度、二度、と。
ゆっくりと瞬きをしたところで、野間に手を引かれるまま。
静かに、AnBarを後にした。