余所者-よそもの-【 2 】
――Re:bido.
私は野間に連れられるがまま、扉の前に立っていた。
ドアにかかるプラスチックプレートは『OPEN』を示している。
私のすぐ後ろに控える野間は、一緒にこのドアを潜る気は無いらしい。
私が自らの手で扉を押し開くのを、背後で黙って待っていた。
私は野間を一瞥してから、意を決してドアを押す。
視界の端に見えていた野間の足元は、ドアが開くのと同時に踵を返し、去っていった。
――リン、
と頭上で鈴の音が鳴る。
前に進むのを躊躇った。
「………」
「入れよ」
だって、てっきり奥の部屋に居ると思っていたシドが、カウンターの内側に立っていた。
私はこっそりと深呼吸をしてから、おずおずとリビドーに足を踏み入れる。
以前、悲惨なまでに荒らされたリビドー。
その影はどこにも残っていない。
カウンターチェアは新調され、木製のカウンターだって傷跡ひとつなく。
床にガラス片の一つも転がっていないし、カウンター背面の棚こそ少し空いているものの、新品か、新品に近い酒瓶がいくつか丁寧に並べ直されている。