余所者-よそもの-【 2 】
「……悪かった」
その言葉に、確かめるように彼を見た。
シドが謝るなんて、想像もしていなかったから。
苦しそうに眉根を寄せたまま、自分の噛み痕をじっと見ていた。
なんで?
どうして、シドがそんな顔をするの?
思いがけないその表情に呆気にとられていると、彼は片腕で私を抱き寄せた。
噛み痕の残る首筋に顔を埋めて、ゆっくりとした一呼吸を耳元に聞かせると。そのまま静かに語りだす。
「たまに、ありえねぇくらい頭に血が上るときがある」
「……うん」
「俺がお前に、何をしたかは覚えてる」
「うん」
「だから……悪かった」
らしくないぶっきらぼうな謝罪。
私は言葉を返す代わりに、両腕をシドの大きな背中に回した。
そうすれば、顔に当たるシドの固い鎖骨が少しだけ痛い。
シドだってもう片方の腕を私の腰に回して、優しく、けれどより強く私を抱きしめた。
「ねぇ、シド」
「なんだ」
「『カエデ』って、誰?」