余所者-よそもの-【 2 】
「わかるだろ?なぁ、わかるだろ。……解って、くれよ」
「………」
「悪魔じゃないか。人間じゃない……あんなの。あんな男の、何がいいんだ?」
「バンくん……」
「……呼ぶな!俺の名前をッ!虫唾(ムシズ)が走るんだよ!!」
勢いよくこちらを振り返ったバンは、目から大粒の涙をこぼしながら、ギ、と私を睨みつけた。
「……出てけ」
「………」
「さっさとここから、出てけ」
「……ない」
「ああ?」
「出て、行かない……」
バンはふるふると怒りを煮立たせた。
今にも、こちらに飛びかかってくるんじゃないか。私は構えた。
「おはようございます」
だけど、出勤してきたサンコンが更衣室を開けて入ってくると、張り詰めていた空気がふっと緩む。
「珍しいですね、バンくんが私よりも早く出勤するだなんて」
いつも通り穏やかなトーンでそう言いながら、ロッカーに私物を入れていくサンコンを尻目に、バンは更衣室の扉を出ていく。
着替え始めたサンコンに、私も続いて更衣室を出れば。
フロアからは、バンの低く、じっとりとした声が届いた。
「絶対ぇ、追い出してやる……」