余所者-よそもの-【 2 】
AnBarで働く中で、唯一の心の救いは、サンコンが変わらず接してくれることだった。
「カナコさん、今日の買い出しです」
あくる日の夕方。
そう言って買い出しのメモを私に手渡したサンコン。
今日はバンがいない。
私とサンコン二人だけの営業日。
それだけで私は心はいくらか軽く、「わかりました。行ってきます」と買い出し用のポーチを握りしめてAnBarを出た。
それに気が付いたのは、露天街に差し掛かる手前の路地を歩いていたとき。
向かい側。
夕暮れ時の街並みの中で、ひと際目を引く男が真っ直ぐに歩いてきた。
「……ユキさん?」
私は目を見開いたまま、足の裏に糊でも付けられたみたいにその場から一歩も動けなくなってしまった。
だって。
ユキの隣には、見たことのない綺麗な人がぴったりと寄り添っている。
――コツ、コツ、とアスファルトに高らかに響く、ヒールの音。
薄いカーディガンの裾を翻し、くるくると巻いた艶やかな長い髪。
ジュエリーみたいにぷっくりと、瑞々しく輝くリップをユキの耳元に寄せ。
とても親密に、腕を深く絡めて歩いていた。
「お疲れ」
「……お疲れ、さまです」
まともに二人の姿を見ることができなくて、私は咄嗟に視線を地面へと落とす。