余所者-よそもの-【 2 】
拭き終えたダスターを片付けるためにバーカウンターの中へ入ると、今度はバンがリンコに手招きで呼ばれていた。
てっきり私と同じように席に掛けるのかと思いきや、バンはすぐに戻ってきてカウンターの向こう側から口をパクパクと、何かを言ってる。
BGMが大きいから、何を言ってるのか全く聞き取ることが出来ずに首を傾げると、バンはカウンターに回ってきて私のすぐ隣に立って大声で怒鳴った。
「酒つくれっつーの!」
「わかった。何を作ればいい?」
「知らねぇよ!」
「オーダー取ったんじゃないの?」
「オーダー取ってお前に頼んだのに、すっとぼけてくるから俺も忘れた!」
「あんな距離で聞こえるわけないじゃない」
「ピンク色のカクテルだ、カタカナの。名前わかんねぇ」
信じられない。
それだったらもう一回聞いてくればいいのに。
「私、聞きなおしてくる」
私がカウンターを出ようと動いた瞬間、バンの靴底が私の足先をダンッ!と強く踏みつけた。
「馬鹿か。俺がオーダー聞き取り損ねたことになるだろうが!」
「じゃあどうしろっていうの?」
「なんでもいいから作れよ!ピンクのカクテル」
「そんなこと言っても、いっぱい種類あるし」
「さっさと作れ!違ったらお前がミスったことにしろ!」