余所者-よそもの-【 2 】
やがて、大勢の人々が溢れかえるように集まる大通りに差し掛かった。
熱気を放つ野次馬のギャラリーが、幾重にも壁を作っている。
また誰かが喧嘩しているのかな。
特に理由もなくギャラリーの最後尾について、周囲の人々の実況に耳を傾けた。
「うお、前歯イった!」
「紫藤さん出張らないのかな?」
「武装派の連中も馬鹿だな。普通に無理だろシトウ相手に」
「ねぇねぇ、これって何でモメてんの?」
「紫藤さん来ないかなぁ」
喧嘩しているのは露天街の武装派と、シトウらしい。
そこにシドの姿は無いようだ。
珍しいなと思った。
シトウと露天街がモメることはあまりないから。
何があったんだろう。
すると後ろから聞き覚えのある声が耳をかすめた。
「ほぉ。よぉシトウに染まったモンやのぉ」
「……八賀さん?」
「久しいな」
振り返ると、八賀は買い物帰りのようだった。
大きめのレジ袋にいっぱいの荷物を下げて立っている。
「止めに来たんですか?喧嘩を」
「ええや?ただの通りがかりじゃ」
八賀は手元でずっしりと重たそうな袋をガサゴソと持ち直した。
片手に杖があるから手間取っていて、大変そう。
「持ちますよ」
私が代わりに袋を手に取れば、八賀は何も言わないままギャラリーに背を向け、コツ、コツ、と杖を突いて歩き出した。
荷物を持って着いてこいってことか。
私は、きっとあの古民家を目指すであろう八賀の真横に並んでゆっくりと歩いた。