余所者-よそもの-【 2 】
「喧嘩止めなくていいんですか?」
「いちいち首突っ込んどったらキリないやろ」
「けど露天街があんな風に街で喧嘩してるの珍しいですよね?」
「んなことない。小競り合いはままある」
「そうなんですか?」
「露天街の騒動は目立たんだけじゃ。最近はZの小僧共が煩いしな」
露天街は目立たない、か。
ギャラリーが出来るような喧嘩が珍しいだけってことなんだろう。
「刺激が欲しぃて集まっとるんやろ。シトウの紫藤も静かぁなったし」
言われてみればたしかにそうだ。最近はシドが街で喧嘩をしている話をあまり聞かない。
街は少し穏やかになったということなのかもしれない。
「八賀さん、ずっと聞きたかったんですけど」
「なんじゃ」
「初めて会ったとき、八賀さん私に『早くこの街を出ていけ』って言ったの、覚えてますか?」
そう尋ねると、八賀は「ああ」と返事をして、私が尋ねるまでもなく理由を答えた。
「ありゃおまんがこの街に馴染まんと思うたからや」
「それはどうして?」
「さぁなぁ。尤も、今は違うぞ」
八賀は横で歩く私の顔にちらりと目をやった。
深く垂れた瞼から覗く鋭い眼光は、私の瞳の奥の、さらに深部まで見透かしている気がした。
「この街によぉ馴染んどる。ものの見事堕ちたな、おまんも」
八賀はまるでそれを祝福するかのように、不気味に笑っている。
――『よぉシトウに染まったモンやのぉ』
さっき街で会ったときに掛けられたあの皮肉めいた言葉は、私宛だったのか。