愛するあなたを殺させないため、死に戻った私はこの恋を捨てると決めた

「どうしたの、ヴィクトル」

「ロジェリオさんが事故に遭って入院したと父さんから聞いたから……。ザカリアスは家にいたから大丈夫だとは思ったけど、姉さんのことが心配で」

 明確に言葉にはしなかったものの、彼もかつてロジェリオが亡くなってエリシアがあとを追った時のことを思い出したのだろう。

「私は大丈夫。ロジェリオも、幸いなことに頭の怪我以外はそこまで酷いものではなかったから」

 エリシアの言葉を聞いてヴィクトルは安心したのか、深いため息をつく。そして、ロジェリオに向き直った。

「姉さんのことは、おれが守るので。だから安心してください」

「えっ……」

 突然の宣言にロジェリオは戸惑いの表情を浮かべる。エリシアは慌てて、彼も死に戻っていることを説明した。あの日のことを思い出しているのか、ヴィクトルは神妙な表情だ。説明を聞いたロジェリオは、顔を覆って深い息を吐いた。

「そうだったのか……。きっときみも、恐ろしい思いをしただろう」

「おれが戻ったのは、姉さんを守るためだと思っています。今度こそ、姉さんは幸せにならなくちゃいけない。――あなたと、一緒に」

 小さな声ながらもはっきりと告げられて、ロジェリオは噛みしめるように何度もうなずいた。

「あぁ、ありがとう」

「家にいる間は、おれが姉さんを守ります。だけど姉さんは、なるべく早く家を出るべきです。公爵家の籍に入ってしまえば、さすがにあいつも手出しはできないはずだから……」

「そうだな。やっぱり、なんとか結婚を早められるよう、父を説得するよ」

 ロジェリオは固い決意を滲ませて、強くうなずいた。
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