愛するあなたを殺させないため、死に戻った私はこの恋を捨てると決めた
食事を終えて自室で再度身支度を整えたエリシアは、父親と約束した時間に馬車へと向かった。馬車の前では執事のザカリアスが待っていて、エリシアの姿を認めると嬉しそうな笑みを浮かべる。目を合わせたくなくて、エリシアはうつむきがちに足を進めた。
「お待ちしておりました、エリシアお嬢様。さぁ、どうぞお乗りください」
差し出してくれる手を断って、エリシアは自分で馬車へ乗り込む。父はまだ来ていないようだ。
「お父様は、まだかしら」
沈黙が嫌で思わずぽつりとつぶやくと、ザカリアスはにんまりとした笑みを浮かべた。その目の奥に熱っぽさを感じたような気がして、背筋がぞくりとする。
「おや、お嬢様はご存じなかったですか? 旦那様は、来られませんよ」
「え……?」
「来客のご予定があるのを、うっかり失念しておられたようです。ですから今日は、お嬢様だけで行くようにと仰せでした」
そう言いながら、ザカリアスは何故か馬車の中に入ってきた。逃げようとするものの、そう広くない馬車の中に逃げ場などなく、エリシアは隅で身体を縮めることしかできない。
「そ、それなら私も行くのをやめるわ……。お天気も、あまりよくないし……」
「せっかく一緒に出かけられるのですから、そんなことを言わないでくださいよ、お嬢様」
にこにこと笑いながら、ザカリアスが更に近づいてくる。思わず振り払うように腕を前に出したら、右の手首を掴まれた。なまぬるい感触にぞっとしたのも束の間、かちりという音がして手首をひんやりとしたものが滑っていく。
「……っ!」
エリシアの手首には銀の枷が取りつけられ、その先は馬車の窓枠に繋がっていた。必死に腕を引っ張るものの、鎖ががちゃがちゃと耳障りな音を立てるばかりで、手は自由にならない。
「お待ちしておりました、エリシアお嬢様。さぁ、どうぞお乗りください」
差し出してくれる手を断って、エリシアは自分で馬車へ乗り込む。父はまだ来ていないようだ。
「お父様は、まだかしら」
沈黙が嫌で思わずぽつりとつぶやくと、ザカリアスはにんまりとした笑みを浮かべた。その目の奥に熱っぽさを感じたような気がして、背筋がぞくりとする。
「おや、お嬢様はご存じなかったですか? 旦那様は、来られませんよ」
「え……?」
「来客のご予定があるのを、うっかり失念しておられたようです。ですから今日は、お嬢様だけで行くようにと仰せでした」
そう言いながら、ザカリアスは何故か馬車の中に入ってきた。逃げようとするものの、そう広くない馬車の中に逃げ場などなく、エリシアは隅で身体を縮めることしかできない。
「そ、それなら私も行くのをやめるわ……。お天気も、あまりよくないし……」
「せっかく一緒に出かけられるのですから、そんなことを言わないでくださいよ、お嬢様」
にこにこと笑いながら、ザカリアスが更に近づいてくる。思わず振り払うように腕を前に出したら、右の手首を掴まれた。なまぬるい感触にぞっとしたのも束の間、かちりという音がして手首をひんやりとしたものが滑っていく。
「……っ!」
エリシアの手首には銀の枷が取りつけられ、その先は馬車の窓枠に繋がっていた。必死に腕を引っ張るものの、鎖ががちゃがちゃと耳障りな音を立てるばかりで、手は自由にならない。