愛するあなたを殺させないため、死に戻った私はこの恋を捨てると決めた

「あいつがエリシアをおれから奪わなければ、おれだって事故なんて仕組まなかったさ。だから、全部あいつが悪いんだ。でも、ようやくエリシアを取り戻すことができたからもういいんだ。あとは、エリシアが自分の心に素直になればいいだけだよ」

 そう言って、ザカリアスはエリシアの顔をのぞき込んできた。吐息がかかるほどの近さが、不快でたまらない。

「嫌……! 私は、ザカリアスのことなんて好きじゃない。愛してないわ! 私が愛しているのはロジェリオだけなの!」

「はぁ、困ったな。やっぱり先にあいつのことを殺しておくべきだったかな。あいつが死ねば、エリシアの洗脳も解けるだろう。少し危険な橋を渡ることになるかもしれないけど、殺しに行ってこようか」

 恐ろしいことをなんでもないことのように口にするザカリアスが、怖くてたまらない。かつてザカリアスはロジェリオを毒殺したのだから、彼は人を殺すことを躊躇いはしないだろう。

 震えながら、エリシアは首を振った。

「いや……、やめて……」

「それならエリシアは、おれを愛していたことをちゃんと思い出さなきゃならない」

 ひやりとした声で言って、ザカリアスはエリシアの頬を撫でた。生ぬるい体温が、気持ち悪くてたまらない。

「いつもみたいに笑ってよ、エリシア。おれを愛してるって、そう言って?」

 催促するように、ザカリアスの指がエリシアの唇をなぞる。恐ろしくて、不快で、瞳からは涙があふれて頬を伝っていった。

 だけど、このままザカリアスの妄想につきあっているわけにもいかない。

 何度も震える息を吐きながらも、エリシアは決意を込めてザカリアスを見上げた。
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