愛するあなたを殺させないため、死に戻った私はこの恋を捨てると決めた
「……っ嫌。私はあなたを愛していない。私が愛しているのは、ロジェリオただ一人よ。あなたはファリノス家の執事。私にとっては、使用人でしかないわ。家を継ぐのはヴィクトルだし、あなたとの結婚なんてありえない。その親しげな口調もやめて。すごく……不快だわ」
一気にそう言うと、エリシアは深い息を吐いた。内心では恐ろしくてたまらないものの、懸命に背筋を伸ばして姿勢を保つ。
かつては、親しい兄のようにも思っていた。異性としての愛情を抱いたことはなかったけれど、心から信頼していたはずだった。
こんなことがなければ、ずっといい関係でいられただろうにと思うと胸が苦しくなるが、そんな未来はもうどこにもない。
しばらく黙っていたザカリアスは、やがて呆れたようなため息をついた。それは酷く投げやりに聞こえて、エリシアはびくりと身体をこわばらせる。
「本当に頑固だね、エリシアは。もしかしたら、身体から分からせた方がいいのかな? うん、どうせ結婚するんだから、今抱いても問題ないか」
「いや……っ」
思わず逃げようと身体をよじるものの、手首の拘束がエリシアの動きを封じる。ザカリアスはエリシアの肩を掴むと、ベッドに押しつけた。倒れたエリシアの上に、のしかかるようにして覆いかぶさってくる。自由になっていた左手も押さえつけられ、両脚で胴を挟むように固定されて、ほとんど動くことができない。
「ずっとそばで見てきたんだ。エリシアは、本当に美しく育った。どんなに触りたいと思っていたことか」
ザカリアスの視線は胸に注がれていて、それが気持ち悪くてたまらない。