愛するあなたを殺させないため、死に戻った私はこの恋を捨てると決めた
「眠っているエリシアに少しずつ色々なことを教えていくのも楽しいかなと思ってたんだけど、やっぱり人目があると難しいね。確かあの時も、ヴィクトルに邪魔されたんだ。あいつもエリシアを狙っていたから、やっぱりここから出るのは危険だよね」
その言葉を聞いて、エリシアの脳裏にザカリアスが用意した茶葉を使ったという紅茶のことがよぎる。やはりあの紅茶には、何かが仕込まれていたのだろう。あの時ヴィクトルが来てくれなかったら、何をされていたか分からない。
「嫌っ……やめて、触らないで……!」
腕を突っ張り、足をばたつかせて抵抗を試みるものの、身体は全然自由にならない。細身に見えるザカリアスだが、やはり男女の力の差を見せつけられたようで、怖くなる。
「おれたちは、夫婦になるんだ。夫の言うことは聞くものだよ、エリシア」
暴れるエリシアを軽々と押さえつけながら、ザカリアスが顔を近づけてくる。口づけられるのが嫌で、エリシアは必死に顔を背けて目を閉じた。
その時、ザカリアスが小さく息をのんで忌々しげに唸るのが聞こえた。何があったのだと恐る恐る目を開けると、彼は顔を怒りで真っ赤にして、ぶるぶると震えていた。
「……っ、なんて、ことだ……。夫以外の男に、身体を許すなんて。エリシアは、そんなにふしだらな女だったのか……!」
ザカリアスの視線はエリシアの首筋に向けられていて、彼の怒りの理由が先日ロジェリオにつけられた痕であることが分かる。エリシアが横を向いたことで、耳の裏の痕が見えたのだろう。
「あいつに抱かれたのか!? おれを愛してるって言ったくせに、あいつに身体を許したのか!」
「っ違う……! 私はリオが好……っ」