愛するあなたを殺させないため、死に戻った私はこの恋を捨てると決めた

愛しているのは、あなただけ

「エリシア……!」

 部屋に飛び込んできたのは、ロジェリオだった。雨に濡れたらしく全身ずぶ濡れで、額の傷が開いたのか、包帯には血が滲んでいる。

 息を荒げるその顔は、見たことがないほどに険しい。

「ど、どうしてここに」

 身体を起こしたザカリアスは、狼狽したように視線をさまよわせる。まさか居場所を突き止められるとは思っていなかったようだ。

 もちろんエリシアも、助けが来たのが信じられない気持ちでいっぱいだ。

「……リオ」

 思わず名前を呼ぶと、ロジェリオは微かに表情を緩めた。だがまたすぐに厳しい顔になると、まっすぐにザカリアスに向かって駆けてくる。

 体当たりをするようにぶつかられて、ザカリアスの身体はベッドから落ちて床に倒れた。ロジェリオはザカリアスをうつ伏せにすると、両腕を背中でまとめて掴み、体重をかけて押さえ込んだ。

 そこに、騎士団の制服を着た男たちも部屋になだれ込んでくる。ザカリアスはあっという間に拘束され、身動きが取れなくなった。

 部屋の隅には弟のヴィクトルの姿もあって、どうやら彼らが騎士団を呼んでくれたのであろうことが分かる。

 エリシアを抱き起こそうとしたロジェリオは、右手首に繋がれた枷に気づいて表情を歪めた。

「なんてことを……」

 震える声でつぶやいて、ロジェリオはエリシアをしっかりと抱きしめた。彼の身体は雨に濡れて冷えていたけれど、その腕に包まれているというだけでエリシアのこわばった身体はほぐれていくようだ。

「あいつに何をされた? シア。教えて」

 真剣な顔で見つめる彼は、エリシアが乱暴されていないかどうかを心配しているのだろう。エリシアは、まだ微かに震える唇を噛みしめて、小さく首を横に振った。

「何も、されてないわ」
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