愛するあなたを殺させないため、死に戻った私はこの恋を捨てると決めた
「シア、愛してる。これからもずっと、こうして痕を残させて」
「私も愛してるわ、リオ。ここだけじゃなくて、もっとたくさん愛しているって証を残して。私が全てを捧げたいと思うのはリオ、あなただけなの」
「俺も――俺の全てでシアを愛すると誓うよ。もう絶対に、離さない」
その言葉通りの、想いを込めた強い抱擁に、エリシアは心からの幸せを感じていた。
◇
その後、ロジェリオの退院と同時にエリシアは公爵家へ移り住むこととなった。公爵家の離れで、ロジェリオと共に暮らすのだ。離れといってもさすがは公爵家、エリシアの実家であるファリノス家の屋敷よりももっと立派だ。
ザカリアスの脅威はなくなったものの、実家にいると執事のことを思い出してしまうだろうからと、ロジェリオはエリシアが家を出ることを強く主張したのだ。
エリシアの両親は、自分の家の使用人がロジェリオの事故を仕組んだと知って青ざめ、責任を取るために爵位の返上を申し出た。
だけど、そうなるとエリシアがロジェリオと結婚することが難しくなるため、馬車の事故原因に関しては公にせず、内々で処理をすることとなった。ロジェリオが「公爵家の力というのは、こういう時に使うものだ」と言っていたから、騎士団にも根回しをしたのだろう。
もちろん信頼していた執事がまさか娘に歪んだ想いを抱き、誘拐するなんて思ってもいなかった両親は、酷くショックを受けていた。特に、ザカリアスを取り立てた父親は、自分が彼に声をかけなければこんなことにならなかったのにとかなり落ち込み、夜も眠れていないようだった。身分を気にしない父親の優しさを仇で返される形となったが、ヴィクトルが慰めつつ何度も話をしたことで少しずつ前を向いているようだ。