愛するあなたを殺させないため、死に戻った私はこの恋を捨てると決めた
思わず視線を向ければ、膝でティーカップの破片を踏みつけていた。ドレスの布越しであっても、ちくちくとした痛みを感じる。
「さぁおいで、エリシア」
「嫌だって……言ってるでしょう」
エリシアは素早く視線を巡らせ、散らばった破片の中から大きくて鋭いものを選んで掴み取った。それを見て、男はすぅっと目を細める。
「反抗的なのはよくないなぁ。エリシアは優しいから、他人を傷つけることなんてできないだろう」
「……これは、あなたを傷つけるためのものじゃないわ」
手に取った破片を見つめ、エリシアは尖った方を自分へと向けて握り直す。それに気づいた男が、小さく息をのむのが分かった。
「まさか、エリシア……っ」
「私は、あなたのものになんてならない。私が愛しているのは、ロジェリオただ一人よ」
「待て、エリシア! やめろ……!」
男が叫びながら手を伸ばしてくるが、それより先にエリシアは自らの左胸に破片を突き立てた。
燃えるような痛みと息苦しさに襲われて、目の前が急激に暗くなる。どくどくとあふれ出る血液だけがやけに鮮やかで、生温い感触と共に肌を赤く染め上げていくのが分かった。
「嘘だ、そんな……! エリシア!」
「……っ」
破片を奪われることがないように、エリシアは更に胸の奥へと破片を押し込んだ。傷口が焼けるように痛み、息ができない。口から血があふれ、歪な呼吸音が響く。だけど死ぬことは全く怖いと思わなかった。この男の手から逃れられるならそれでいい。
よろめいて倒れ込んだエリシアのすぐそばには、ロジェリオの身体がある。震える手で彼の手を掴み、エリシアは微かに笑みを浮かべた。
今なら、先に逝ったロジェリオに追いつけるかもしれない。彼のもとへ行けるのなら、この痛みだって平気だ。
「さぁおいで、エリシア」
「嫌だって……言ってるでしょう」
エリシアは素早く視線を巡らせ、散らばった破片の中から大きくて鋭いものを選んで掴み取った。それを見て、男はすぅっと目を細める。
「反抗的なのはよくないなぁ。エリシアは優しいから、他人を傷つけることなんてできないだろう」
「……これは、あなたを傷つけるためのものじゃないわ」
手に取った破片を見つめ、エリシアは尖った方を自分へと向けて握り直す。それに気づいた男が、小さく息をのむのが分かった。
「まさか、エリシア……っ」
「私は、あなたのものになんてならない。私が愛しているのは、ロジェリオただ一人よ」
「待て、エリシア! やめろ……!」
男が叫びながら手を伸ばしてくるが、それより先にエリシアは自らの左胸に破片を突き立てた。
燃えるような痛みと息苦しさに襲われて、目の前が急激に暗くなる。どくどくとあふれ出る血液だけがやけに鮮やかで、生温い感触と共に肌を赤く染め上げていくのが分かった。
「嘘だ、そんな……! エリシア!」
「……っ」
破片を奪われることがないように、エリシアは更に胸の奥へと破片を押し込んだ。傷口が焼けるように痛み、息ができない。口から血があふれ、歪な呼吸音が響く。だけど死ぬことは全く怖いと思わなかった。この男の手から逃れられるならそれでいい。
よろめいて倒れ込んだエリシアのすぐそばには、ロジェリオの身体がある。震える手で彼の手を掴み、エリシアは微かに笑みを浮かべた。
今なら、先に逝ったロジェリオに追いつけるかもしれない。彼のもとへ行けるのなら、この痛みだって平気だ。