愛するあなたを殺させないため、死に戻った私はこの恋を捨てると決めた
それを嗅いだ瞬間、エリシアの手からカップが滑り落ちた。ほとんど持ち上げていなかったので割れることはなかったものの、かしゃんと高い音が響く。
急激な吐き気に襲われたエリシアは、口元を押さえて小さく呻いた。
「……っ、う」
「お嬢様、どうなさいましたか」
心配そうな声で、ザカリアスがエリシアの肩に触れる。隣では、ヴィクトルも腰を浮かせていた。
だがエリシアはその場で震えていることしかできなかった。
この紅茶は、ロジェリオが亡くなった時に飲んでいたのと同じものだ。
エリシアはこの紅茶を気に入っていて、特に朝食時に飲むことが多かった。だから、今日ここで提供されることは何もおかしくはない。
それでも、エリシアの記憶ではついさっき、ロジェリオがこの紅茶を飲んで亡くなったのだ。
「姉さん、大丈夫? やっぱり体調が」
「エリシアお嬢様、大丈夫ですか?」
「触らないで……!」
差し出された二人の手を、エリシアは全力で振り払った。驚いた顔を見せる二人に、構う余裕なんてない。視線を下に向けたまま何度か深呼吸を繰り返して、必死に吐き気を堪える。
「ごめんなさい、体調が優れないみたい。部屋に戻るわ」
「でしたら、お部屋までお送り……」
「必要ないわ。少し休めば、よくなると思うの」
自室までのほんのわずかな距離でも、ザカリアスと二人きりにはなりたくない。もちろんヴィクトルに送ってもらうのも嫌だ。
大丈夫だからと繰り返し、エリシアは逃げるように食堂を後にした。
自室に戻り、ベッドの上に倒れ込んでエリシアは目を閉じる。彼らから離れたことで、吐き気も治まったようだ。
「まさか、二人が共謀していた……なんてことも、あるのかしら」
つぶやいてみても、それは違うような気がする。
急激な吐き気に襲われたエリシアは、口元を押さえて小さく呻いた。
「……っ、う」
「お嬢様、どうなさいましたか」
心配そうな声で、ザカリアスがエリシアの肩に触れる。隣では、ヴィクトルも腰を浮かせていた。
だがエリシアはその場で震えていることしかできなかった。
この紅茶は、ロジェリオが亡くなった時に飲んでいたのと同じものだ。
エリシアはこの紅茶を気に入っていて、特に朝食時に飲むことが多かった。だから、今日ここで提供されることは何もおかしくはない。
それでも、エリシアの記憶ではついさっき、ロジェリオがこの紅茶を飲んで亡くなったのだ。
「姉さん、大丈夫? やっぱり体調が」
「エリシアお嬢様、大丈夫ですか?」
「触らないで……!」
差し出された二人の手を、エリシアは全力で振り払った。驚いた顔を見せる二人に、構う余裕なんてない。視線を下に向けたまま何度か深呼吸を繰り返して、必死に吐き気を堪える。
「ごめんなさい、体調が優れないみたい。部屋に戻るわ」
「でしたら、お部屋までお送り……」
「必要ないわ。少し休めば、よくなると思うの」
自室までのほんのわずかな距離でも、ザカリアスと二人きりにはなりたくない。もちろんヴィクトルに送ってもらうのも嫌だ。
大丈夫だからと繰り返し、エリシアは逃げるように食堂を後にした。
自室に戻り、ベッドの上に倒れ込んでエリシアは目を閉じる。彼らから離れたことで、吐き気も治まったようだ。
「まさか、二人が共謀していた……なんてことも、あるのかしら」
つぶやいてみても、それは違うような気がする。