愛するあなたを殺させないため、死に戻った私はこの恋を捨てると決めた
「私、何か飲み物をもらってくるわ。どうぞゆっくり楽しんできて」
エリシアのことを気にする様子の友人に、行ってらっしゃいと手を振ってみせ、エリシアはその場を離れる。気兼ねなく楽しんでもらうために、しばらく外した方がいいだろう。
少し考えて、エリシアは会場の外へ行くことにした。バルコニーから、庭に出ることができるのだ。
人々の熱気にあふれた会場内とは対照的に、庭は静かで空気もひんやりとしている。近くのベンチに腰掛けて、エリシアはふうっとため息をついた。
華やかな場は楽しくもあるけれど、少し疲れてしまった。
その時、背後から小さな靴音がした。
「ハンカチを、落としましたよ」
深みのある低い声に聞き覚えはないものの、周囲には誰もいない。振り返ったエリシアは、相手の顔を見てぽかんと口を開いてしまった。そこに立っていたのは、先程まで多くの令嬢に囲まれていたはずの、ロジェリオ・アルベルダ公爵令息だったのだ。どうやって令嬢たちを振り切ったのか、彼は一人のようだ。
間近で見てもやはり彼は整った顔立ちをしていて、思わずじっと見つめてしまう。笑った顔を見せない氷のような美貌だと称されているのを耳にしたことがあるけれど、本当に彫刻作品のように美しい。あまりにじっと見入っていたせいか、彼が怪訝そうな顔になったので、不躾だったとエリシアは慌てて視線を逸らす。
ロジェリオの手に握られているハンカチは確かにエリシアのもので、鞄に入れていたつもりが落としてしまったらしい。
「あ……ありがとうございます」
急いで立ち上がり、差し出されたハンカチを受け取って礼を言うと、彼は微かに目元を緩めた。ほんの少しの表情の変化なのに、纏う空気が一気に華やいだような気がする。
エリシアのことを気にする様子の友人に、行ってらっしゃいと手を振ってみせ、エリシアはその場を離れる。気兼ねなく楽しんでもらうために、しばらく外した方がいいだろう。
少し考えて、エリシアは会場の外へ行くことにした。バルコニーから、庭に出ることができるのだ。
人々の熱気にあふれた会場内とは対照的に、庭は静かで空気もひんやりとしている。近くのベンチに腰掛けて、エリシアはふうっとため息をついた。
華やかな場は楽しくもあるけれど、少し疲れてしまった。
その時、背後から小さな靴音がした。
「ハンカチを、落としましたよ」
深みのある低い声に聞き覚えはないものの、周囲には誰もいない。振り返ったエリシアは、相手の顔を見てぽかんと口を開いてしまった。そこに立っていたのは、先程まで多くの令嬢に囲まれていたはずの、ロジェリオ・アルベルダ公爵令息だったのだ。どうやって令嬢たちを振り切ったのか、彼は一人のようだ。
間近で見てもやはり彼は整った顔立ちをしていて、思わずじっと見つめてしまう。笑った顔を見せない氷のような美貌だと称されているのを耳にしたことがあるけれど、本当に彫刻作品のように美しい。あまりにじっと見入っていたせいか、彼が怪訝そうな顔になったので、不躾だったとエリシアは慌てて視線を逸らす。
ロジェリオの手に握られているハンカチは確かにエリシアのもので、鞄に入れていたつもりが落としてしまったらしい。
「あ……ありがとうございます」
急いで立ち上がり、差し出されたハンカチを受け取って礼を言うと、彼は微かに目元を緩めた。ほんの少しの表情の変化なのに、纏う空気が一気に華やいだような気がする。