愛するあなたを殺させないため、死に戻った私はこの恋を捨てると決めた
 お互いの好きなシーンを語り合うのは楽しくて、気づけば二人はダンスを止めて夢中で話し続けていた。
「まさか、大好きな本についてこんなにも語り合える人に出会えるなんて思ってもみなかったわ。ロジェリオ様とは、もっとお話ししていたいくらい」
 あまりに楽しくて、興奮で紅潮した頬を押さえつつ、エリシアは笑う。エリシアより年上で、家格だってずっと上の相手なのに、話しているうちにお互いの言葉はすっかり砕けたものになっていた。
 ロジェリオは、エリシアの方に身を乗り出すと手を握った。
「それなら、また会えないかな。きみともっと色々な話をしたい」
「ぜひ! 今度はお互い本を持ち寄るのはどうでしょう」
「いいね。じゃあ、手紙を送るよ」
 そう言って、ロジェリオはエリシアの手の甲にそっと唇を押し当てた。挨拶みたいなものだと分かっているのに、柔らかな感触に鼓動が速くなる。
 熱くなった頬を隠すようにうつむくと、ロジェリオは小さく笑ってエリシアの耳元に唇を寄せた。
「ねぇ、エリシア嬢。きみに一目惚れをしてしまったと言ったら、信じてもらえる?」
「え……っ」
「大好きな花や本を、同じように好きな人と出会えるなんて思ってもみなかった。とても楽しくて、こんなにあっという間に時間が経ったのは初めてだった。きみに出会えたのは、運命だと思ったよ」
「ロジェリオ様」
「きみのことをもっと知りたいし、俺のことも知ってほしい。だから、今度はゆっくりと会いたい」
 真摯な口調で願うようにそう口にしたロジェリオの深い緑の瞳を、エリシアはじっと見つめ返す。こんなにも素敵な人が自分に好意を抱いているなんて、信じられない気持ちだ。だけど、エリシアも彼と過ごす時間がとても楽しかった。
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