愛するあなたを殺させないため、死に戻った私はこの恋を捨てると決めた
出会いなんて求めていないし、とにかく参加したという事実さえあれば、父親も文句は言わないだろう。
果実水のグラスを時折傾けながら、エリシアは笑いさざめく人々をぼんやりと眺めていた。時折視線を投げかけてくる男性はいるものの、エリシアは決して誰とも目を合わせないようにしていた。こういう場において目を合わせてしまったら、誘いを受け入れたと捉えられてしまう。
その時、会場の入り口付近で熱っぽいざわめきが起きた。令嬢たちが華やいだ声をあげているから、誰か名の知られた人がやってきたのだろう。
思わず興味を引かれて視線を向けてしまったエリシアの心臓が、どくりと音を立てる。
この状況は、かつてロジェリオがあらわれた時と同じではないか。
見てはいけないと思うのに、視線を外すことができない。凍りついたように会場の入り口を見つめていると、多くの令嬢に囲まれた長身の男性の姿が目に入った。
「――っ!」
濃紺のジャケットを身に纏った、金の髪の男性。少し癖のあるその髪が柔らかいことを、エリシアは知っている。
表情ひとつ変えずに令嬢たちの誘いを断るその顔は、氷のようだ。だけど、笑った顔がどれほど甘く優しいか、エリシアは覚えている。
「……リオ」
エリシアの唇から、無意識に彼の名前がこぼれ落ちる。
場所も時期も違うのに、どうしてここにロジェリオがいるのだろう。
彼と出会った夜会を避けたはずなのに、彼はかつての記憶の中と同じ格好をしている。
決して出会ってはならないと思うのに、ロジェリオの顔を見ただけで今にも涙がこぼれ落ちそうなほどに嬉しい。
死に戻ってからずっと、エリシアの頭の中から離れなかった、彼の最期の姿。
ロジェリオが生きているという事実に、胸が苦しくなるほどの喜びを感じた。
果実水のグラスを時折傾けながら、エリシアは笑いさざめく人々をぼんやりと眺めていた。時折視線を投げかけてくる男性はいるものの、エリシアは決して誰とも目を合わせないようにしていた。こういう場において目を合わせてしまったら、誘いを受け入れたと捉えられてしまう。
その時、会場の入り口付近で熱っぽいざわめきが起きた。令嬢たちが華やいだ声をあげているから、誰か名の知られた人がやってきたのだろう。
思わず興味を引かれて視線を向けてしまったエリシアの心臓が、どくりと音を立てる。
この状況は、かつてロジェリオがあらわれた時と同じではないか。
見てはいけないと思うのに、視線を外すことができない。凍りついたように会場の入り口を見つめていると、多くの令嬢に囲まれた長身の男性の姿が目に入った。
「――っ!」
濃紺のジャケットを身に纏った、金の髪の男性。少し癖のあるその髪が柔らかいことを、エリシアは知っている。
表情ひとつ変えずに令嬢たちの誘いを断るその顔は、氷のようだ。だけど、笑った顔がどれほど甘く優しいか、エリシアは覚えている。
「……リオ」
エリシアの唇から、無意識に彼の名前がこぼれ落ちる。
場所も時期も違うのに、どうしてここにロジェリオがいるのだろう。
彼と出会った夜会を避けたはずなのに、彼はかつての記憶の中と同じ格好をしている。
決して出会ってはならないと思うのに、ロジェリオの顔を見ただけで今にも涙がこぼれ落ちそうなほどに嬉しい。
死に戻ってからずっと、エリシアの頭の中から離れなかった、彼の最期の姿。
ロジェリオが生きているという事実に、胸が苦しくなるほどの喜びを感じた。