愛するあなたを殺させないため、死に戻った私はこの恋を捨てると決めた
 震える手で封筒を開け、便箋を取り出す。そこには、昨晩一緒に踊ったことに対する礼と、また会いたいという言葉が丁寧な文章で綴られていた。
 ぜひ、お茶会をしないかという誘いを見て、エリシアは目を閉じてため息をつく。
「……だめよ、もう会わないと決めたの」
 本当は、またロジェリオに会いたい。彼と親交を深めて、また恋人になれたなら、どれほどいいだろう。
 だけどその先に待っているのは、ロジェリオの死だ。今度こそ、絶対に彼を死なせてはならない。
 じわりと滲んだ涙を指先で拭って、エリシアは机に向かった。飾り気のないシンプルな便箋を取り出すと、花束の礼とお茶会には行けない旨を短く書き記す。
 最低限の礼儀しか備えていない文章は、見ようによっては失礼だと思われるかもしれない。それでもよかった。たとえ嫌われても、ロジェリオが生きていてくれる方がずっといい。
 しっかりと封蝋をして、侍女のダナに手紙を出してもらうように頼む。きっとこれで、ロジェリオとの縁は切れたはずだ。
 そう考えながらも、エリシアはロジェリオからの手紙を大切に引き出しの奥にしまい込んだ。愛する人からもらった手紙を処分するなんてこと、できるはずがない。決して想いを通じ合わせることはできないけれど、一緒に踊ることはできた。再び彼のぬくもりを感じられたことは、本当に幸せだった。これから先の人生は、この思い出を胸に抱えて、生きていくつもりだ。
「絶対に、あなたを死なせたりしないから」
 決意を込めて、エリシアはつぶやいた。
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