愛するあなたを殺させないため、死に戻った私はこの恋を捨てると決めた
「エリシア、お知り合いかい?」
 父親の言葉に、ロジェリオは人のよさそうな笑みを浮かべた。もともと見惚れるほどの美貌の彼がそうやって笑うと、場の空気が変わるほどに華やかだ。
「失礼しました。ロジェリオ・アルベルダと申します。エリシア嬢とは、先日の夜会で一曲踊っていただいたのです」
「アルベルダ公爵家の……! まさかそんなご縁があったとは」
 父親は満面の笑みでロジェリオと握手を交わしている。あとで、ダンスを踊ったことについて徹底的に聞かれるに違いない。
 そこにロジェリオの両親であるアルベルダ公爵夫妻もやってきて、ますます逃げ場がなくなる。婚約していた時、いずれ義理の娘となるはずだったエリシアを、彼らはとても可愛がってくれていた。公爵夫妻は今世でも、優しく笑ってエリシアのことを歓迎してくれた。
「先日の夜会で、ロジェリオがいつになくそわそわとして帰ってきたんですの。運命の出会いをしたと言っていて、どちらのお嬢さんのことかしらと思っていたんですのよ」
 公爵夫人の言葉を受けて、エリシアの父がちらりと視線をこちらに向ける。その目は、この縁を決して逃すなと言っているような気がした。
 逃げたいのに外堀をどんどん埋められているような気がして、エリシアは背筋に冷たい汗をかいていた。
「そうだわ、よければ席をご一緒しませんか? 劇場の方のご厚意で広い席を用意していただいたんだけど、親子三人では持て余してしまいますもの。うちには息子しかいないから、わたくしも可愛らしいお嬢さんと一緒に観劇したいわ」
「とてもありがたいお話です。ぜひに」
 親同士が盛り上がって、あっという間に同じボックス席で観劇することが決まってしまった。
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