愛するあなたを殺させないため、死に戻った私はこの恋を捨てると決めた
そう言って差し出された腕に、エリシアはあえて小さなため息をつきながら手を添えた。
ロジェリオが用意してくれた公爵家の馬車に乗って、会場を目指す。少しでも距離を取りたくて、エリシアはロジェリオと対角線上の位置に腰を下ろした。
「エリシア嬢」
「ごめんなさい、話しかけないでいただけますか」
「えっ」
「馬車は苦手で、酔ってしまいそうなんです。気を紛らわすために、窓の外を見ていたいので」
馬車に酔うなんて真っ赤な嘘だけど、エリシアは窓の外に視線を向けたまま抑揚のない声で言う。こんな感じの悪い女だなんて思わなかったと、幻滅してくれればいいのにと心の中で願いながら。
ロジェリオは分かったと小さく答えて、以後は話しかけてくることはなかった。重たい沈黙が落ちるが、仕方がないことだと言い聞かせる。
やがて会場に到着し、馬車から先に降りたロジェリオが手を差し出してくれた。
「酔いはどうだろうか。休憩室を借りて、少し休んだ方がいいかもしれないな」
「いえ、平気ですから」
「無理はしたらだめだ、エリシア嬢。会場で倒れたら大変だろう。まだ開始時刻までは少しあるし、体調を整えてからの方がいい。もちろん回復しないようなら、すぐに帰ろう」
ロジェリオの表情は真剣で、心からエリシアのことを案じているように見える。馬車酔いなんて嘘だと言うこともできず、気づけばエリシアは休憩室へと案内されていた。
会場で体調を崩した参加者のために、夜会では休憩室がいくつか用意されることが多い。とはいえそれは表向きの理由で、ほとんどが恋人たちの逢瀬の場として使われているのが実情だ。エリシアもかつては、ロジェリオと休憩室で二人きりの甘い時間を過ごしたことがある。
ロジェリオが用意してくれた公爵家の馬車に乗って、会場を目指す。少しでも距離を取りたくて、エリシアはロジェリオと対角線上の位置に腰を下ろした。
「エリシア嬢」
「ごめんなさい、話しかけないでいただけますか」
「えっ」
「馬車は苦手で、酔ってしまいそうなんです。気を紛らわすために、窓の外を見ていたいので」
馬車に酔うなんて真っ赤な嘘だけど、エリシアは窓の外に視線を向けたまま抑揚のない声で言う。こんな感じの悪い女だなんて思わなかったと、幻滅してくれればいいのにと心の中で願いながら。
ロジェリオは分かったと小さく答えて、以後は話しかけてくることはなかった。重たい沈黙が落ちるが、仕方がないことだと言い聞かせる。
やがて会場に到着し、馬車から先に降りたロジェリオが手を差し出してくれた。
「酔いはどうだろうか。休憩室を借りて、少し休んだ方がいいかもしれないな」
「いえ、平気ですから」
「無理はしたらだめだ、エリシア嬢。会場で倒れたら大変だろう。まだ開始時刻までは少しあるし、体調を整えてからの方がいい。もちろん回復しないようなら、すぐに帰ろう」
ロジェリオの表情は真剣で、心からエリシアのことを案じているように見える。馬車酔いなんて嘘だと言うこともできず、気づけばエリシアは休憩室へと案内されていた。
会場で体調を崩した参加者のために、夜会では休憩室がいくつか用意されることが多い。とはいえそれは表向きの理由で、ほとんどが恋人たちの逢瀬の場として使われているのが実情だ。エリシアもかつては、ロジェリオと休憩室で二人きりの甘い時間を過ごしたことがある。