愛するあなたを殺させないため、死に戻った私はこの恋を捨てると決めた
「エリシア嬢?」
 凍りついたようにその場で硬直していると、ロジェリオが心配そうな顔になる。彼は今、ちゃんと生きている。必死にそう思おうとするのに、足の震えが止まらない。
 かたかたと身体を震わせるのを見た彼は、エリシアが雨に濡れて冷えたと勘違いしたらしい。上着を脱ぐと、そっとエリシアの肩からかけてくれた。彼のぬくもりに包まれて、知らず涙がこぼれ落ちる。
「やめて……ください。私に、近づかないで」
「それは、どういう……」
「だめ。一緒にいては、いけないの。お願い、どうか私のことを……嫌いになって」
 堪えきれず、エリシアは両手で顔を覆った。
 自分はロジェリオのことを嫌いになれないのに、彼には嫌いになれと言うなんて、身勝手すぎる願いだ。
 だけど彼を愛しているからこそ、一緒にいることはできない。
 言葉にできない想いが、呻き声となって唇から漏れた。 
「エリシア嬢」
 囁くような声で名前を呼ばれ、彼がハンカチを差し出してくれたのが指の隙間から見えた。エリシアはそれを拒絶するように、顔を覆ったまま首を振る。
「俺はエリシア嬢のことが好きだし、どうしたってきみを嫌いにはなれない。きみが流す涙の意味を知りたいんだ。俺のことが嫌で泣いているわけではないと思うんだけど、それは勘違いかな……?」
「私……私は……」
 ロジェリオの優しい声がエリシアの耳にしみ込んでいく。嫌いになってと言ったはずなのに、想いを告げられると胸の奥が締めつけられるほどに嬉しい。
 何か言わねばと口を開くものの、しゃくりあげるばかりで言葉にならない。それに、何を言えばいいのかも分からない。
「エリシア嬢、こちらへ。ベンチに座ろう」
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