愛するあなたを殺させないため、死に戻った私はこの恋を捨てると決めた
 そう言って、ロジェリオはそっと背を押してベンチに座るよう促した。エリシアとは距離を取って、彼も腰を下ろす。
「きみが、何故か俺を避けようとしていることは分かるよ。だけど、それが本心でないことも分かる。他の人と幸せになってと言いながら、酷く傷ついた顔をしていた。だから……少しは俺のことを想ってくれているんじゃないかと、自惚れたくなる」
 その通りだと思いながら、エリシアはただ黙ってうつむいていた。涙だけが、ぽろぽろとこぼれ落ちる。
 一緒にいてはならないと思うのに、今こうして共に過ごしていることすらエリシアにとっては喜びだ。
 エリシアと結ばれたらロジェリオの未来に死が待っていることは分かっている。だけど彼が他の人と幸せになるところを想像したら息もできないほど苦しくなる。
 どうすればいいのだろうと、エリシアは目を閉じた。涙が頬を伝って、落ちていく。
「顔も見たくないくらい俺のことを嫌いなら、どうかそう言って。そうしたら俺はここを出て、もう二度ときみに会わないと約束するよ」
 静かな声でそう告げられて、エリシアはぴくりと肩を震わせた。ロジェリオはじっと沈黙して、エリシアの答えを待っているようだ。
 嫌いだと一言告げれば、彼との縁は切れる。そうすればいいと分かっているのに、唇はどうしても動かない。
 だってこんなにも愛している人のことを、たとえ嘘でも嫌いだなんて言えるはずがない。
「……そんなこと、言えない」
 エリシアは、震える声で吐き出す。一度声を出せば、言葉は勢いよく唇から飛び出した。
「嫌いだなんて……言えない。言えるはずないわ。こんなにも好きなのに……! だけど、どうしてもだめなの。私と一緒にいたら、あなたは……っ」
「俺が、何?」
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