愛するあなたを殺させないため、死に戻った私はこの恋を捨てると決めた
 はっきりとした声で問われ、エリシアはハッとして口をつぐむ。
 ロジェリオが死んでしまう未来を知っているなんて、信じてもらえるわけない。
「エリシア嬢、教えて。きみが何を抱えているのか、俺は知りたい」
「無理、言えない……」
「どうして? それが、きみが俺を避ける原因なんだろう? だったら、俺にも関係があることなんじゃないのか?」
「だって……きっと、信じてもらえないわ。それに、あなたを不快にさせてしまう」
「エリシア嬢の言うことなら、俺は信じるよ。だから、どうか教えて。きみの苦しみを俺も一緒に背負うことはできないのかな」
 そっと伸ばされた手が、涙に濡れたエリシアの頬に触れる。指先であふれる涙を拭い、ロジェリオは顔をのぞき込んだ。大好きな深い緑の瞳が、じっとエリシアを見つめている。
「お願いだ、エリシア嬢」
「……っ」
 真摯な口調で乞われて、また新たな涙が浮かび、彼の手に落ちた。これ以上は隠しきれないだろうと、覚悟を決める。
 一度深く息を吐いて心を落ち着け、エリシアはゆっくりと口を開いた。
「私は……この先の未来に起きることを、知っているの」
 震える声でそう告げると、ロジェリオは、驚いたように目を見開いた。表情は硬いものの、冗談だろうと笑い飛ばすような雰囲気はない。
「……きみの知っているその未来で、俺たちの身に何かが起こるということかな」
「信じてくれるの……?」
「もちろんだ。嘘でも俺のことを嫌いだといえないような優しいきみが、俺を騙すような真似をするわけない」
 当然のことのようにうなずくロジェリオを見て、エリシアのこわばった心が少し緩む。
 だけどあの恐ろしい出来事を口にするには、かなりの勇気を必要とする。エリシアの唇は、ぶるぶると震えた。
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