愛するあなたを殺させないため、死に戻った私はこの恋を捨てると決めた
 吐息まじりに囁かれた言葉に、ますます体温が上がった。二人きりで甘い時間を過ごす時だけ、ロジェリオはエリシアのことを『シア』と呼ぶ。二人だけの秘密の愛称で、彼にそう呼ばれることが大好きだ。だけど親密な行為を匂わされると、どうしても照れてしまう。
 動揺を隠すように視線を逸らし、横髪を指先にくるくると巻きつけていると、ロジェリオがくすりと楽しそうに笑った。
「エリシアの可愛い癖が、出てるよ」
「あ……」
 指摘されて、エリシアは頬を赤らめる。照れると指先で髪をいじる癖があるのだ。なるべく気をつけるようにしていても、ロジェリオといるといつだってドキドキしてしまって、無意識のうちに癖が出る。
「いつも、この指にキスをしたくなるんだ」
 そう言って、ロジェリオはエリシアの手を取ると指先にそっと唇を押し当てた。じっと見つめる緑の瞳の奥には、熱情が宿っている。ゆっくりと手を引かれ、顔が近づいてきたので、エリシアはそっと目を閉じた。
 啄むような口づけは、徐々にお互いの舌を絡める濃厚なキスに変わっていく。ここが外だということも忘れて、エリシアは甘い触れ合いに溺れていた。
「ん……っ、ロジェ……リオ」
「うん、もっと名前を呼んで、シア」
「ふ、……ぁ、リオ……っ」
 呼吸すら奪うような熱く激しいキスを受け止めながら、エリシアは懸命にロジェリオの名を呼ぶ。ロジェリオはエリシアに名前を呼ばれるのが好きで、甘い触れ合いの最中に舌足らずにエリシアが呼ぶ『リオ』という愛称をとりわけ気に入っている。彼が『シア』と呼ぶのと同じように、エリシアが『リオ』と呼ぶのも親密な時間を過ごしている時だけだ。
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