愛するあなたを殺させないため、死に戻った私はこの恋を捨てると決めた
「ありがとう、エリシア。本当だ、いい香りだな」
すんと鼻を鳴らして、ロジェリオが紅茶に手を伸ばす。その瞬間、エリシアは彼の手を掴んだ。
「待って。……やっぱり、こっちのカップを使って」
言い訳のように、糸くずが入っていたからとつぶやいて、エリシアは自身のカップと入れ替えた。ロジェリオは、黙ってそれに従ってくれる。
恐る恐る口をつければ、爽やかなミントの香りが口の中に広がった。飲み込んでも何も感じないし、毒は入っていない。
だけどまだ安心はできない。エリシアは、今度はロジェリオをじっと見つめた。彼がゆっくりとカップを口に運び、やがて喉が動く。
「――うん、とても美味しいよ。エリシアは紅茶を淹れるのが上手だね」
そう言って微笑んだロジェリオを見て、エリシアはようやく肩の力を抜いた。
他愛ない会話を楽しんでいるうちに、エリシアも少しずつ緊張が解けてくる。弟は出かけているし、執事は父親の執務の手伝いをしているはずだ。きっと、何も起こらない。
それでもどこか気を張ったまま、二人の時間は終わりを告げた。ロジェリオを見送るために、エリシアも玄関ホールへと向かう。
「今日はありがとう。とても楽しい時間を過ごせたよ」
「こちらこそ、ありがとう」
「今度は、ぜひうちでお茶をしよう。母もエリシアに会いたいと言っていたよ」
「まぁ、嬉しい。ぜひ」
うなずいたエリシアを、ロジェリオはそっと抱き寄せる。
「うちなら安心して過ごせるだろう? それに、もっと親密な触れ合いだってできる」
こそりと囁かれた言葉に、エリシアの頬に血が上る。悪戯っぽい顔で笑ったロジェリオは、頬に掠めるような口づけを残すと、帰って行った。
頬に残る柔らかな感触を噛みしめつつ、エリシアはぼうっとその場に佇んでいた。
すんと鼻を鳴らして、ロジェリオが紅茶に手を伸ばす。その瞬間、エリシアは彼の手を掴んだ。
「待って。……やっぱり、こっちのカップを使って」
言い訳のように、糸くずが入っていたからとつぶやいて、エリシアは自身のカップと入れ替えた。ロジェリオは、黙ってそれに従ってくれる。
恐る恐る口をつければ、爽やかなミントの香りが口の中に広がった。飲み込んでも何も感じないし、毒は入っていない。
だけどまだ安心はできない。エリシアは、今度はロジェリオをじっと見つめた。彼がゆっくりとカップを口に運び、やがて喉が動く。
「――うん、とても美味しいよ。エリシアは紅茶を淹れるのが上手だね」
そう言って微笑んだロジェリオを見て、エリシアはようやく肩の力を抜いた。
他愛ない会話を楽しんでいるうちに、エリシアも少しずつ緊張が解けてくる。弟は出かけているし、執事は父親の執務の手伝いをしているはずだ。きっと、何も起こらない。
それでもどこか気を張ったまま、二人の時間は終わりを告げた。ロジェリオを見送るために、エリシアも玄関ホールへと向かう。
「今日はありがとう。とても楽しい時間を過ごせたよ」
「こちらこそ、ありがとう」
「今度は、ぜひうちでお茶をしよう。母もエリシアに会いたいと言っていたよ」
「まぁ、嬉しい。ぜひ」
うなずいたエリシアを、ロジェリオはそっと抱き寄せる。
「うちなら安心して過ごせるだろう? それに、もっと親密な触れ合いだってできる」
こそりと囁かれた言葉に、エリシアの頬に血が上る。悪戯っぽい顔で笑ったロジェリオは、頬に掠めるような口づけを残すと、帰って行った。
頬に残る柔らかな感触を噛みしめつつ、エリシアはぼうっとその場に佇んでいた。