愛するあなたを殺させないため、死に戻った私はこの恋を捨てると決めた
 再び重ねられた唇は、うっとりするほど甘い。お互いの想いを伝え合うように何度も口づけを交わし、二人は固く抱き合った。
 ロジェリオの胸に頬を寄せていると、彼の鼓動が感じ取れる。いつもより少し速いのは、さっきのキスの名残だろうか。
 その時風向きが変わったのか、会場の音楽が聞こえてきた。聞き覚えのあるメロディーに、二人は思わず顔を見合わせて笑う。
「この曲、懐かしいわね」
「あぁ、エリシアと初めて踊った曲だ」
 スッと姿勢を正したロジェリオは、エリシアにまっすぐ手を差し出した。
「俺と踊っていただけませんか?」
「えぇ、もちろん」
 初めて出会った時と同じように誘われて、エリシアは笑顔で彼の手を取った。
 誰もいない庭園で、二人はゆっくりと踊り始める。動くたび視界に入る指輪が嬉しくて、エリシアはくすくすと笑った。
「すごく楽しいし、すごく幸せ」
「うん、俺も」
「ずっとこの幸せが続くといいな」
「シアがそばにいてくれたら、俺は世界一幸せだよ」
「ふふ、私もリオと一緒にいられることが何よりの幸せよ」
 曲が終わるのと同時に、二人はまた口づけを交わした。くるくると回ったことで少し乱れた髪を整えるように、ロジェリオがエリシアの頭を撫でる。その際に指が引っかかったのか、右耳からピアスがはずれて地面に落ちた。高い音を立てて地面で弾んだピアスに、ロジェリオが慌てて手を伸ばす。
「あ……ごめん」
 ピアスを拾い上げたロジェリオは、申し訳なさそうに眉尻を下げた。
「飾りが取れかかっている。今、落としたせいかな」
「落としたくらいでは、そうならないわ。お気に入りだから使用頻度が高いせいで、金具が緩んでいたんじゃないかしら」
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