確信犯の傘下
コウ先輩は優しいひとだった。
そのぬくもりに包まれてしまえば、かんたんに忘れられると思った。
でも、今年の春。
アキラくんがこの高校に入学すると知って、嬉しいと苦しいが喧嘩した。
学年は違えどまた同じ学校にアキラくんという存在があること。
それは嬉しくて苦しくてどうしようもなくて
忘れたくて目を背けたくて逃げたくて
コウ先輩の部屋で、初めての夜を越した。
でもその結末は見え透いたもので、わたしには不釣り合いな眩しい存在を、この酷く虚しい感情で傷つけて。
今日でその限界を迎えた。
「どうせこんなことしたって無駄なのに」
今年の入学式の日から、わたしの髪型はずっと同じ。
それはわたしがまだアキラくんのことを好きだという証拠にしては十分だった。
「せんぱい」
足を止めた。
止めたのに、振り向くという挙動が、どうしてかできない。