確信犯の傘下
「入れてよ、せんぱい」
そう言って音源は当然のようにわたしの隣へ並んで、わたしから傘と否定を奪う。
「……アキラ、くん」
触れた肩の熱でやっと金縛りから解放されてゆっくりとアキラくんを見上げた。
たぶん、イケメンには分類されないであろう顔。
少し雨の雫がついた分厚いメガネのレンズの奥は、一重の釣り目。
そこに正体不明の色気が漂っているように感じてしまうわたしはきっと重症。
そんな、直視するだけで胸が張り裂けそうな瞳は心なしか、最後に見上げたあの時よりも遠くなっている気がした。
「……せんぱい、見ないうちに縮んだね?」
「アキラくんの背が伸びたんでしょ」
タメ口を咎めるのはだいぶ前に諦めた。
毛量多めだけど天然パーマのおかげでふわっと軽くみえるその髪は今、キラキラと宝石のような雨粒に装飾されている。
「そうかも」
ふ、と笑って前を向く。