確信犯の傘下
少しだけ雨が強くなった。
「せんぱい濡れちゃうからさ、」
「わっ、」
もっとこっち、と言いながら。
傘を持ち替えてわたしの肩を抱き寄せて。
「あー、結構降ってきたね」
なんて呑気に、天を仰ぐ。
いつもそう。
わかっているくせに、自覚しているくせに。
こうしてわたしに思わせぶりなことをして、どこまでもわたしを、揺さぶる。
年下のくせに生意気だ。
「今日ね」
「うん」
「彼氏と別れたんだ」
「いたんだね」
「1つ年上のかっこいい先輩」
「ふうん」
興味なさそうな棒読みは、わたしの心をぶっ刺す。
これまでも幾度無く、そうされてきた。
それなのにわたしは、話し続ける。
「割と長続きしたんだよ」
「そうなんだ」
「もうすぐ1年の記念日だったのに」
「へえ」
「これからクリスマスもあるのに、ぼっちになっちゃった」
「どんまい」
「人肌恋しい季節なのになあ」