君がいた夏の終わりに
第三章
夏の夜
その日のことを、
Mちゃんはたぶん一生忘れない。
⸻
夏だった。
⸻
夜風が少しだけ涼しくて。
⸻
蝉の声が遠くで聞こえていた。
⸻
二人は並んで歩いていた。
⸻
いつもと同じ帰り道。
⸻
でも。
⸻
どこか違った。
⸻
言葉が少なかった。
⸻
沈黙が長かった。
⸻
そして。
⸻
Kくんが立ち止まった。
⸻
「Mちゃん」
⸻
その声だけでわかった。
⸻
終わるんだ。