魔力ゼロの悪役令嬢が 最強の魔女になれたのは、優しい魔王さまの嫁だから

16話

 16話 王太后(おうたいごう)メアリー



 ある初秋の昼下がり、突然、王太后メアリーの邸宅にカリナ・オルデウスは招かれた。


 最終試験の内容が決まって、かなりの月日がたち、ずいぶんと待たされた後、ようやくカリナは王太后メアリーに謁見(えっけん)を許された。


 しかも、それは急な呼び出しで、決まってすぐ、その日の午後のお招きだった。


 王太后メアリーを前にカリナ・オルデウスは(こうべ)()れて、控えている。王太后に問われるまで、挨拶も声も掛けてはいけない。


 「お前が、私の宝石を盗みに来た、カリナ•オルデウスだね。」


 カリナを一瞥(いちべつ)すると、王太后メアリーは腹立たしげに、そう言った。


 「可愛い孫息子のリアル王太子を、上手くたらし込んで。

 王妃やリアルは騙せても、

 この私、メアリー•アルスラヌス。この国の王太后の目は誤魔化せないよ。」


 そう言うと、急にスイッチが入ったように、カリナに食ってかかる。


 「…何があっても、私の大切な宝石は渡さない。

 さぁ、欲しければこのか弱い年寄りから(ちから)づくで奪ってお行きなさい!」


 カリナは少し面食(めんく)らったものの、丁寧に膝を曲げて、挨拶をした。そして、次のように、弁明(べんめい)した。


 「いえ、わたくしは、そんなつもりは、全くありません。本日は王太后様のお話を伺いたく、参りました。」


 カリナが話すやいなや、ますます王太后は(げき)した。


 「お前など、話し相手によんだ覚えはない!(いや)しい盗人め。下がりなさい!」


 そう言うとカリナを下がらせた。


 王太后メアリーの感情の起伏(きふく)の激しさにカリナは少々面食らってしまった。


 やはり、お噂通(うわさどお)り、王太后メアリーはお心のご病気なのだというのは、なんとなく察するものがあった。


 カリナ•オルデウスはメアリー王太后の屋敷を出るころに、ようやく、ふっと息を吐く事が出来た。


 「どうやら、王太后様に完全に嫌われてしまったみたい。」


 カリナはこれから、どうすべきなのだろうと途方に暮れた。


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