たった一日の恋人役のはずが、敏腕社長の妻になりました

 タクシーを降りて、エントランスをくぐる。

 まず最初に目に入ったのは、天井が高く開放的なロビーの中心にある巨大なツリー。クリスマスというのもあり飾られているのだろう。

 金色の照明が大理石の床に反射し、きらびやかな空間を作り出している。

 外が土砂降りの雨と強風であることを忘れさせるくらい非日常的な空間だ。


「すごいですね」


 予想していたよりも豪華なホテルに驚きつつ、フロントへと向かう成海社長のあとを付いていく。

 チェックインの手続き中に、ふと重大なことに気づいてしまった。

 もしかして今夜は成海社長と同じ部屋に泊まるの?

 満室ばかりでようやく空きを見つけたくらいだから、二部屋も取れていないだろう。

 空港で一晩過ごすことにならなかったのだから贅沢を言ってはいけないが、できることなら別々の部屋がよかった。

 成海社長とは一緒に暮らしているが、別の部屋で過ごすことが多いし、寝室も別々なので、一晩同じ部屋で過ごすのは初めて。

 耐えられるだろうか……。

 せめてツインベッドであってほしいと願いながら、今夜泊まる部屋のある十階へとエレベーターで上がった。


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