たった一日の恋人役のはずが、敏腕社長の妻になりました
スキンケア用品はホテルのものを使ったが、これに関してはなくても特に困らないのが本音だ。
たまにメイクをしたまま寝てしまう日もあるし、スキンケアはいつも適当だから。
私が戻ると、今度は成海社長がバスルームに向かった。
これから成海社長とこの部屋で一晩過ごすというのに、先ほどよりも緊張していないのは少し酔っているからだろうか。
ベッドに腰を下ろしてテレビをつけ、たまたまやっていたニュース番組を見る。
どうやら大雨と暴風の影響で、九州全土の高速道路が通行止めになっているらしい。新幹線も飛行機も運休や欠航しており、現時点では再開の目処は立っていないそうだ。
すると、成海社長がバスルームから戻ってきた。
「明日は飛行機が飛ぶといいんだが」
そう言って、彼が隣に座る。ニュース番組は天気を伝える情報のあとに、クリスマスの話題へと移った。それをふたりで見ながら、私はふと口を開く。
「飛行機が飛ばなくて東京に戻れなくなったことは予想外でしたが、私はこうして成海社長と過ごすことができてよかったです」
何気ない言葉だったが、成海社長が珍しくきょとんとした表情で私を見ていることに気づいた。