たった一日の恋人役のはずが、敏腕社長の妻になりました
「俺はいい秘書に恵まれた。これからもよろしく頼む」
私の頭を撫でていた成海社長の手がするすると移動し、首の後ろへと回った。
えっ、と思ったときにはグイッと引き寄せられ、気付いたときには唇に温かなものが触れていた。
ちゅっというリップ音を残して、成海社長の顔が離れていく。
……キスをされた。
数秒経ってようやく気づく。途端に恥ずかしくなり、目の前の成海社長から目を逸らすように視線をあちこちに泳がせる。
「あ、あの、えっと……」
声にならない声を上げながら、落ち着け落ち着けと自分に念じる。
一方の成海社長はすっとベッドから腰を上げると、私に背を向けた。
「明日は朝一で空港に向かう。今夜は早めに休もう」
そう言って窓辺に向かい、イスに腰を下ろした。
「梅本はベッドを使っていいから」
「は、はい」
先ほどのキスの余韻が残る私は、成海社長の言葉についドキッとしながら慌てて頷く。
「おやすみ」
成海社長は腕を組み、足を組んでから目を瞑り、顔を少し下に向けた。
どうやら本当に寝るようだ。
「おやすみなさい」
そう声を掛けてから、ベッドの枕元にあるスイッチで照明を落とした。そして、布団を頭まで被って横になる。