たった一日の恋人役のはずが、敏腕社長の妻になりました

 あれ以来、どんな顔で成海社長と接すればいいのかわからず、彼のことを避けるような態度を取ってしまっている。

 けれど、キスに関してはもう忘れることにした。

 三日間くらい頭がパンクしそうになるほど考えたけれど、そうしたところであのキスの真相はわからない。

 成海社長に聞けるわけもないので、それならばもうなかったことにしようと思った。

 もしかしたら成海社長は酔っていたのかもしれない。その日の夕食のときにビールを数杯飲んでいたから。

 一時の気の迷いというやつだ。だから気にしない。

 そう思うことにしたのだが、成海社長を前にするとあの日のキスを思い出してしまい恥ずかしくなる。

 一方の成海社長の態度は変わらない。キスなんてまるでなかったかのように普段通りだ。

 やはり酔っていたのだろう。だから、覚えていないのかもしれない。

 だから私も忘れよう。そう思っているが、なかなか難しい。


「梅本さんに聞きたいことがあるんだけど」


 霧矢さんはそう言って、私の目をじっと見つめる。


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