たった一日の恋人役のはずが、敏腕社長の妻になりました
夫婦の時間


 *

 二週間後の土曜日は、朝から雲ひとつない空が広がり、穏やかな冬晴れとなった。

 寒さも緩み、日差しに温もりを感じる。

 デート当日である今日は、午前十時に家を出て、成海社長の車で目的地へと向かっている。

 これから他県の温泉宿に一泊する予定だ。

 デートというよりも旅行のような気もするが、行き先について私が知らされたのは二日前のこと。成海社長によると急きょ宿が取れたらしい。

 聞いたときはまさかの行き先に驚いたけれど、休日に遠出をするのが久しぶりなので楽しみでもある。

 それに、成海社長が運転する車に乗っているのも新鮮で、とても貴重な時間を過ごしていると思う。

 彼の運転はとても丁寧で、乗っていてとても心地がいい。 


「今日は天気がいいな」


 運転席でハンドルを握る成海社長は眩しいのか目を細めた。


「雨予報でしたけど、晴れてよかったですね」

「ああ。ナビ情報によると現地も晴れのようだしな。福岡出張のときのような悪天候にならなくてよかった」

「そうですね」


 あの日の天気は本当に最悪だった。


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