たった一日の恋人役のはずが、敏腕社長の妻になりました
就航記念セレモニー
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澄んだ青空の下に広がる東京湾。そこに一際大きな客船が停泊している。
静かに佇む姿が美しいその船は、成海商船が三十年振りに新造した大型豪華客船『クイーン・ブルー号』だ。
全長約三百メートルの巨大な船内には千を超える客室や複数のレストラン、プール、劇場などの設備が備わり、まさに海上のリゾートホテル。
今日はこれからクイーン・ブルー号の就航記念セレモニーが開催される。
その会場となる大劇場は、一階席を三層のバルコニー席が囲む馬蹄形の客席になっていて、航海中はコンサートやオペラ、演劇、ミュージカルなどの多彩な演目が繰り広げられる予定だ。
そんな大劇場の片隅で、私はタブレットに視線を落とし、招待客名簿を改めて確認していた。
「梅本さん」
突然、名前を呼ばれて振り向く。入口の方から、すらりと背の高い女性がこちらに向かって小走りで駆けてくるのが見えた。
秘書室長の雪白あかねさんだ。
成海社長の前任の秘書で、私は彼女から引き継ぐ形で専属秘書になった。
三十四歳ながらに秘書たちのまとめ役に抜擢されるほど優秀な女性で、ふんわり丸いシルエットのショートボブがトレードマークだ。